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東陽一監督
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「風音」撮影現場での東監督(沖縄本島北部、本部) |
モントリオールに出品したことも知らないくらいで、まったく予期していなかったから、びっくりしたし、嬉しかったですね。
賞をもらって喜ぶのは誰でもおなじだけど、特に「最優秀アジア映画」というのが、ぼくには特別の意味があるように思えた。1996年の『絵の中のぼくの村』以来、やっぱりわれわれ日本人はアジア人の一員だなあ、と強く感じるようになってましたからね。
日本がアジアの一部だというのは当たり前だけど、今、日本人はほとんどそれを実感しないで生きてるんじゃないかな、ぼく自身も似たようなもんだけど。みんな、アメリカ流の、あるいはヨーロッパ流の生き方、考え方に慣れてしまってるからね。でも、顔をみればまぎれもなくモンゴロイド系の、アジア人。
あまり多くの人には知られてないけど、アジアから生まれる映画には、すばらしいものが多いんですね。いろんな国の映画祭に行ってみてそれがよくわかった。日本では公開されない映画が多いし、大ヒットすることはまれだけど。
モントリオール世界映画祭での今度の受賞は、一本の「日本映画」が、一本のすぐれた「アジア映画」だ、と認められたということですね、今度の受賞の意味は。そのことがとても嬉しい。
最近クランクアップしたばかりの新作『風音(ふうおん)』は、1945年の沖縄戦の記憶がそのまま「現在」として生きている、ちょっと不思議なアジア的時間感覚を描いたものです。これもまたまぎれもない「アジア映画」の一本だけど、物語は波瀾万丈、とても面白いものになると思います。楽しみにしていてください。 |
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