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programA
水俣 ―患者さんとその世界―
【完全版】
【シリーズ2】公害の原点・水俣から学ぶ Vol.1
水俣 ―患者さんとその世界―
【完全版】
水俣  ―患者さんとその世界― 【完全版】
DVD

IFシリーズ2「公害の原点・水俣から学ぶ」全17枚セット
※こちらの作品はセット販売のみとなります。

価格 624,750円(税抜:595,000円)

公共・大学図書館、公共施設でご購入希望のお客さまや、作品に関しては、シグロまでお問い合せください。

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program A
水俣 ―患者さんとその世界― 【完全版】
MINAMATA The Victims and Their World
土本の水俣とのかかわりは1965年『水俣の子は生きている』(日本テレビ)だが、本格的な取り組みは東プロ(のち青林舎)のこの作品からだといえよう。
この映画は1969年、チッソを相手に裁判を起こした水俣病患者家庭29世帯を中心に潜在患者の発掘の過程までを描いている。
鹿児島県出水市の夫婦舟の描写と亡き父の回想からはじまる。
「魚が売れなくなるから隠しぬいてくれ、代りに市が“死”を買いとるから」という水俣病かくしの話をプロローグに、まず死者たちの思い出話を聞く。
「腐れて体中の皮が全部はがれた」夫の話。嫁入り前の娘を死後解剖したら、脳がタコのイボの大きさで黒くやけこげ脱落していたと語る母親など、遺された肉親たちの記憶にのみ残された事実が明らかにされていく。その証言の記録でもある。チッソ城下町で孤立を強いられた患者が厚生省(現・厚生労働省)に望みを託して救済を願い出るが一喝される。「国とは何ちゅうところか」ともだえる、病む主婦の声など痛切だ。
裁判を契機に熊本に発した告発の運動は東京へ、そして全国に支援の輪をひろげる。患者自身による裁判闘争へのカンパ活動、訴え、そしてラストの一株運動へとひろがった。大阪のチッソ株主総会での患者と社長との肉薄の対話で、この映画は劇的なピークをむかえる。
この間、全篇に患者の生活と漁の営みがつづられる。タコとり名人の手練を見せる老人、ボラのえさにバターをまぜるだんごづくりの話など海との断ち切れない愛着が映し出される。
遺族、そして成人患者をめぐったあと、カメラは胎児性患者にむけられる。水俣病の悲劇の象徴的存在である彼らが、あるいは病院に半ば捨てられているさまとともに、家族に見守られて輝くばかりの人間のいとなみを秘めている光景がフィルムにとどめられている。
音楽好きの兄とともに、聴覚を失った弟が、スピーカーの震えを手に感じとる、その演歌「赤城の子守唄」。誰にも教わらないのに、自分の体に入ったチッソの毒を知っている少年が歌う「海は広いな 大きいな」の唱歌、そして抗議の意志をあらわすのに、一株を手に巡礼姿で誦ずるご詠歌など、民衆の音楽的世界がみごとに歌い出されている。
この映画の撮影当時、患者総数は121名でしかなかった。のちに新認定患者として差別される川本輝夫は、周辺の埋もれた患者を訪ねる。のちに1万5千人に近い申請者の出現を見るのだが、その運動の歩み出しとして記録されている。しかしこの映画は水俣病の告発を意図するにとどまらず、患者さんと彼らが棲む水俣をひとつの世界とした視点で描かれている。
(『土本典昭フィルモグラフィ2004』より)
 
水俣  ―患者さんとその世界― 【完全版】[スタッフ]
製作:高木隆太郎
演出:土本典昭
撮影:大津幸四郎
録音:久保田幸雄
整音:浅沼幸一
編集:土本典昭、関沢孝子
演出助手:堀傑
撮影助手:一之瀬正史
デスク:重松良周、米田正篤
写真協力:塩田武史
録音所:TEA
現像所:東洋現像所
協力:水俣病患者家庭互助会29世帯、水俣病市民会議、水俣病を告発する会=熊本・東京・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・福岡

1971年/日本 記録映画/白黒/167min./東プロダクション

第1回モントリオール世界環境映画祭グランプリ
マンハイム映画祭デュキャット賞
ロカルノ映画祭第3位
ロンドン映画祭招待
ペサロ映画祭招待
ベルン映画祭銀賞
優秀映画鑑賞会年間第1位
『映画評論』第3位
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