IF-Independent Films
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programA
不知火海
【シリーズ2】公害の原点・水俣から学ぶ Vol.8
不知火海
不知火海
DVD

IFシリーズ2「公害の原点・水俣から学ぶ」全17枚セット
※こちらの作品はセット販売のみとなります。

価格 624,750円(税抜:595,000円)

公共・大学図書館、公共施設でご購入希望のお客さまや、作品に関しては、シグロまでお問い合せください。

個人用DVDは個別にご購入いただけます。
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program A
不知火海
Shiranui Sea
最近、患者多発地帯の海岸に 20年ぶりに牡蠣がつき、魚影がみられるようになった。
しかしすべての生物は汚染を免れてはいない。水俣湾では漁師の手で魚をとっては捨てる作業が続いている。
かつてチッソは朝鮮に進出、東洋一の化学コンビナートを作った。水俣を支配している構造と驚くほど似ている。チッソの労働者は水俣病を生んだ根深い企業体質を証言する。そして、今も、新しい患者が発生している。
その町に今日も1日を人恋しくすごす胎児性患者がいる。青年期をむかえ、愛も恋も体にうずく。しきりと手まねで新型の車椅子を要求しつづけるのだ。
水俣病患者だけを収容する施設「明水園」では、ときに華やかな行事がある。ひなまつりでアッというような独創的な演じものをする子供たち。しかし飛び離れた“陸の孤島”である。
不知火海の人と生活、漁業は静かに営まれている。あらゆる牧歌的な漁法が湖のようなここにはある。うたせ漁、定置あみ等は海の畠のようである。その“食の美学”は昔と全く変わらず、“水俣病”も遠い遠い噂でしかない。
水俣には日々に悪化し貧窮する申請患者がいる。これを救うには“運動”しかない。川本さんや支援者が聞き書きからはじめ、現代の記録を裁判所につきつけていく。
同じ部落に残酷なまでのアンバランスが生まれている。すでに“救済”された患者が家と生活を一新したのだ。市民は“御殿”とよんでいる。が、一歩家に入って語れば、一生の先を読めぬ患者の、いまの苦しみを忘れるためだけの“自由” と楽しみがこめられていた。しかし、そこに、子孫はわが子で絶えるのを見透かした親の苦悩がふき出てくるのである。
胎児性の子供は、人生の入口にたっている。映画で知りあったのを幸い、一緒に旅をしようとする子に、ある断念が告げられる。胎児性の少女は生まれて初めて医師に治療の可能性を正直にきく。
「脳を手術したら治らないか?」とたずねる。この質問はいまだかつて、誰も受けたことはない。医師は治療の方法を答えることができない。ただ少女の心奥の風景を聞くだけであった。
5人の男子の母親、しかしまだ若い患者である。魚の生まれかわりと自分で言い、信じ、水俣湾の埋立てに自分の埋葬を感じる“にんげん”である。
水俣の対岸には医学上の“暗黒の島”がある。御所浦島などだ。920ppmという人類最高の毛髪水銀量をつきとめながら、何年も手をつけない空白地帯である。
カメラはその海に、自然律を信じて魚をとり、食べ、静かに生きる人々をみる。そして招かれた食卓の魚々の山、その底に、水俣病と寸分たがわぬ人々を目撃するのであった。この地では“水俣の時代”がいまに始まろうとしている。しかし、そこに盛大なフグ漁が始まっていた。
(岩波ホールでの上映用パンフレットより)
 
不知火海[スタッフ]
製作:高木隆太郎
演出:土本典昭、小池征人、有馬澄雄、一之瀬紘子
撮影:大津幸四郎、一之瀬正史、岡垣亨
録音:浅沼幸一、宮下雅則
編集:土本典昭、市原啓子
ナレーター:伊藤惣一
線画:淵脇国盛、成沢孝男
音楽:小栗孝之作品より、松村禎三作品より
イラスト:石橋えり子
スチール:江西浩一
協力:塩田武史、坂口顕、川本久、星野道雄、水俣病患者同盟、水俣病センター相思社、水俣病研究会、水俣病を告発する会、新日本窒素労働組合、熊本日日新聞社
タイトル:菁映社、ワールドビジョン
機材:記録映材社、東京シネマ新社
録音所:三幸スタジオ、新坂スタジオ
現像所:東洋現像所、TBS映画社
事務局:米田正篤、重松良周、佐々木正明、飛田貴子、長もも子

1975年/日本 記録映画/カラー/153min./青林舎
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