IF-Independent Films
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programA
わが街わが青春
―石川さゆり 水俣熱唱―
【シリーズ2】公害の原点・水俣から学ぶ Vol.10
わが街わが青春
―石川さゆり 水俣熱唱―
わが街わが青春―石川さゆり  水俣熱唱―
DVD

IFシリーズ2「公害の原点・水俣から学ぶ」全17枚セット
※こちらの作品はセット販売のみとなります。

価格 624,750円(税抜:595,000円)

公共・大学図書館、公共施設でご購入希望のお客さまや、作品に関しては、シグロまでお問い合せください。

個人用DVDは個別にご購入いただけます。
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program A
わが街わが青春
―石川さゆり 水俣熱唱―
My Town, My Youth
わが街わが青春―石川さゆり  水俣熱唱―
水俣の暑い夏を、「石川さゆりショー」の宣伝カーが走る。不自由な体でポスターを貼り、チラシを配る胎児性水俣病の患者たち。水俣病の公式発見から20年、彼らもすでに20歳をすぎ、一人前の大人としての仕事を探していた。“何かデッカイことをやりたい”、「石川さゆりショー」を考えついたのは滝下昌文だった。明水園の寝たきりの患者たちに、さゆりの歌を聴かせたいというのが、そのはじまりの理由だった。彼ら自身も明水園の出身であり、いわば先輩の明水園育ちなのだ。
この企画はホリ・プロダクションの好意のもとに実現したものだった。そのお礼に上京した若い患者たちに、堀社長は「興行は麻薬のようなもの。今回のショーが成功したからといってそれに酔ってはいけない」と、大人としての忠告を忘れなかった。
いよいよ“石川さゆりを呼ぶ若い患者の会”の活動がスタートした。それぞれ知人たちに1枚ずつ切符を売り歩いた。毎日交替で宣伝カーに乗り、不知火海の津々浦々を廻っていった。
はじめて、船で対岸の島へも渡った。「こんなところにも、自分たちと同じ患者がいる」、多くの出会いの中でこの岩本真美との出会いは、彼らの心に強く焼きついたのだった。
周囲の支援者たちは、彼らにできないことを探して分担しながらも、なるべく手伝うことを控えた。若い患者たちは、水俣病ゆえの、身体の中の痛みをひと時忘れ、彼らにとってのはじめての夏の日々を走り抜けていった。
「石川さゆりショー」のその日、石川さゆりを出迎えた若い患者たちは、さゆりを明水園に案内することに成功した。明水園の患者たちと石川さゆりとの対面の場に立ち合いながら、“オニユウ”(鬼 勇治)、“キヨコ”(清子)たちは、約束を果たすことができたことに、自分たちの大人としての初仕事を実感していた。
公演会場は、定員を超える大入りの客であふれた。若い患者の会の8人は、主催者としてステージに上がった。皆を代表して滝下が挨拶文を読み上げている途中で、“オニユウ”は声を上げて泣きはじめた。楽屋に戻った時、皆も顔をくしゃくしゃにして泣いた。前日のリハーサルの時の、はにかみ笑っていた皆の顔は、影もなかった。
幕が上がり、石川さゆりも真実、熱唱した。主催者のひとり坂本しのぶは、自分たちの手でやりとげたことの充実感を、生きがいと語った。
切符を売り、漁村を走り廻った日々。それは、彼らにとって自分自身を発見する旅であり、何ができないかを知るつらい道ゆきでもあった。
この日の、彼らの最後の仕事は、観客を送り出すことだった。見事にショーを終えた彼らの顔ははればれとして、この日が彼らにとっての本当の成人式であるかのようであった。
(『土本典昭フィルモグラフィ2004』より)
 
わが街わが青春―石川さゆり  水俣熱唱―[スタッフ]
製作:高木隆太郎、中川真次、上村恭治
演出:土本典昭、小池征人、西山正啓
撮影:一之瀬正史、大津幸四郎、川上皓市、平坂政一
録音:久保田幸雄
音楽:森拓治
ナレーター:伊藤惣一
ネガ編集:加納宗子

1978年/日本 記録映画/カラー/43min./青林舎、東北新社
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