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口に出したとたん嘘っぽく思えたり、言葉ではとても表せない気持ちというものがある。ある事情から、自分の気持ちを表現しない人もいる。でも、その中の多くの人は、絵や彫刻でとんでもなく深い何かを表現している。その創作行為を通じて や心を描けないかと夢想した。「知的障害者の優れた作品紹介」というアートオリンピックの映画にだけはしたくないと心に決めた。
ところが、撮っていくうちに肝心のアートとは何かということが訳分からなくなってきた。 や意味不明の土の塊、落書きやメモ、はてはただの叫び声や沈黙までがアートであると本当に思えてきた。シゲちゃんの現代アートに出会って、私の混迷は更に極まった。これでは、何をやってもアートだし、何もしなくてもアーティストになれる。
袋小路に陥ったわりには、フィルムはどんどん廻っていった。あとはヤケのヤンパチ、パッチワークである。見たこと、感心した話、聞こえる物音、好きな作品、それらを切り貼りして、作っては壊し、組み上げては崩しをくり返しながら、 にならないかとアレコレ考えた。
完成したこの 映画は、たしかに私のある意図の下に編集してある。だが、その意図も、なぜこうなったかの理由も、もうすっかり忘れてしまったし、とても言葉で表せるものではない。
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