映画 日本国憲法
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司会(山上)
 ありがとうございました。大田先生にはまだお伺いしたいこともありますので、後ほどまたご発言をお願いしたいと思います。
 班忠義さんから今度はまたお話を伺いたいと思います。
 今4人の方のお話を聞かれたうえで、とくにこれから先のことに関わってくるわけですけれども、とりわけ中国の若い人たち、これはもう完全にある種文化大革命の後大きく変わって来ているというふうに思いますし、社会自体が大きな変革を今求められていると思うんですね。
 そういう若い人たちのなかでのいわゆる平和の問題、あるいは反日というふうな問題があるかと思うんですが、そのへんについて、先ほども少し触れておられましたが、もう一度お話いただけますでしょうか。
班忠義
 今の中国は確かにたいへん難しい状況にあると思うんですね。対外的には反日感情がすごく強いということで、私実は今回日本にくる前、中国の反日運動の総支配人のようなトップの人に会ってきたんですけれども、彼が言うことは、デモに参加する人は序の口だということです。なぜ序の口か、情報を流す手段がないですね。中国は20人以上が集まると公安が入ってくるそうです。そういう自由がないような国です。今回のデモに参加した人たちはほとんど大都会の人です。北京、上海、西安。そこではIT関係の若い人が多いですね。私がいた雲南省は全然そういうような行動もなかった。なぜかというと、その情報が流れるということがない。みなその感情があるけれども、組織ができなかったんですね。
 10年前に私は被害者はどこにいるのか慰安婦調査のことで彼を訪問したんです。彼は92年、全人代に対日賠償の文章を書いて賠償運動を呼びかけた人です。彼に会いに行ったところ、奥さんが「いや、北京にいないですよ」と。その時ちょうど世界婦人大会開催の9月で、彼とそのリーダーの何人かが南の雲南省、広西省(広西チワン族自治区)に追放されたんですね。北京にいないようにしたんです。
 今回彼が言うことは、最近、彼らのような民族主義的な人に対しては圧力を緩めたけれど、随時監視されていたと言うことです。デモを日本では「中国政府がうしろで左右した」という話がありましたが、彼の話ではそんなことはないですね。つまりインターネットで呼びかけて、みんなパーッと現れたんですね。
 それで政府がびっくりしたんです。天安門事件以来そんな大きなデモはないわけです。いきなりこんな、なぜなのか? それはインターネットでそういう情報があったんです。デモがあって、中国は外相が「政府を信頼してください」とスピーチして、全国的にいちおう政府主導ということで抑えたわけです。ちょっと暴行した人は捕まえたりして、それで抑えたんです。

 抑えたと同時にインターネットも、私が四川省に取材に行ったとき、インターネットに入りたいと思っても、インターネットカフェのようなものでも登録制になった。
 私のような外資系の人は身分証明書が登録されてないのでインターネットはさわってはいけないという、すぐそういうようなことになったんです。最近非合法とかそういう組織に対する弾圧は民族派に対してなかったんですけれども、今回小泉首相が参拝するという情報があってすぐに大使館に行ったんですが、公安がすでにそこを守ってたんです。向こうも情報を察知したんですね。ただちょっとだけで、小規模で終わったんです。
 中国の青年たちの感情は完全に現れてはいないです。日本に対すること、海外に対することはいちばん統制されているんです。そういうようなことがあって、日本で「中国人はなぜ靖国神社に参拝するとそんなにいけないと言うのか」と、自分の信条の問題だとかいろいろ小泉さんも言うんですけれども、私たち中国人から見れば、たとえば戦争で、大田知事も言ったんですが、中国人が2000万人くらい死んでしまった。ある学者の統計では12人家族、13人家族に1人死者が出たというような、当時の人口でそうなるんですね。その戦争から60年たって息子とか娘とか、まだ生きているんです。自分の親が殺された人がまだ存在するんです。
 中国は日本に賠償も何も求めていないし、自分は何も得ていないけれども、民間賠償は裁判にかけても敗訴になって、日本は法律の扉がしっかり閉じています。そうすると中国人が求めるのは何なのか。つまり正しい戦争の認識さえあればいい。その認識はどこにあるか。つまり靖国神社は戦争に対する認識のバロメーター。これを測ることになるんですね。
 多くの中国人は靖国神社うんぬんは分からないけれど、参拝すれば、政治家はそこを絶対認めていない、そういう気持ちが強かったんですね。

 不思議なもので、戦争の加害のひどいことが日本には伝わっていないですね。
私が調査する山西省、そのガイサンシーという女性が集団で強姦されて、癲癇という発作をして2回ぐらい家に運ばれたんですね。それでこの部隊は1942年、この強姦所のようなものを、八路軍を退治するために山の奥に作って、そういうようなところは監禁所で慰安所ではないです。誰も管理していない、単なる一分遣隊。12人とか20人くらいそういうような。
 43年の6月にこの監禁所が廃止されたんですね。なぜ廃止されたか。この部隊は独立混成第4旅団で、そのとき62師団に変わったんです。62師団に変わるとその師団長は牛島とかそういうような外地から来たので、それで全部変えたんですね。それで河南戦争を通して沖縄に送られたんですね。沖縄でアメリカと戦うのは2つの師団、24師団と62師団ということですね。そうすると、ほとんど山西省の現地でレイプや監禁をやった人たち。
 それと1939年に作ったその部隊は沖縄に行ったんですね。そうすると、私たちの調査は最後までその地方軍、たとえば伊藤情報班長、森曹長、こういうような現地で言う「赤ら顔隊長」とか、「ロバ隊長」とか、みんな沖縄で戦死したんです。沖縄で戦死して、それで私の調査もストップになったんです。そのような部隊が沖縄で確かにいいことをやることはないと思うんです。
 24師団と62師団は、やっぱり八路軍と戦うのがうまかったから沖縄に入れられたんですが、その24師団、つまり関東軍は、装備がいいけれどもすぐやられた。そう旧軍人が証言しています。

 我々中国人の反日感情の問題は、今のところ中国のほうはもうひとつ、ほんとに国民の声が反映できないのです。日本から見れば中国でなぜデモをするのか、しかも、デモの仕方も体裁悪いと思うでしょうが、デモをしたことがあんまりないんです。今度は正式なルートでデモをして、やっと自分は声が出せたので、いろいろ乱暴な行動も出たかもしれない、そういう体裁の悪いところも出たかもしれません。
 私が思うのは、中国もこれから民主化が必要だし、つまり日本の憲法にある主権在民、男女平等、そういうことを守るべきですね。中国にそういう憲法を輸出して、これから民間の私たち、ほんとうに中国人はこっちに来て、また皆さんは中国に来て、市民の対話で健全なアジアの関係ができると私は思いますね。(拍手)
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画 / 奈良美智「Missing in Action -Girl meets Boy-」(広島市現代美術館所蔵)
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