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ブッシュが勝利宣言をした直後の2ヶ月前にお話をしていたら、この威圧的な状況を阻止することは不可能だと感じたかもしれません。しかし、今となっては、彼らの思い通りには行かないような成り行きですね。 |
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難しいところですね。現政権は広報活動を重視する政権です。どの政権もその傾向はありますが、現政権は異常なほどです。どの人物も慎重に役作りをしています。特定の役を担って配役されている。空母リンカーンでの派手なショーもその典型です。ローブが示唆している通りになるでしょう。また新たな非常に危険なシチュエーションを作り出すということですね。これは難しいことではない。イラクでわかったように、別に真実どおりではなくてもいいのですから。ともかくイランは脅威ではなかったことは確かです。しかし、イラクが非常に重大な脅威であると国民を納得させることには成功した。そして、また別の脅威を作り出してしまえば、国民はイラクの問題など忘れてしまうのです。アフガニスタンやコソボのことはどうでしょうか。国民は何のことだったかもわからなくなっています。 |
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ということは、あえて予測するならば、国民の注意をそらすために、また新たなターゲットが登場するということでしょうか。 |
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内政およびイラクがうまく行かない場合、そうせざるを得ないでしょうね。これは目新しいことではないのです。この顔ぶれですからね。現政権にはレーガンおよび父ブッシュ政権の反動保守分子の面々がほぼそっくり再登場しているのですから。政権丸ごとではありませんが、より反動的な分子ほど現役です。彼らは12年間、ほぼ同じような政策をとっていました。これほど極端ではありませんでしたが。
レーガン政権が登場したとき、まず手をつけたのは、社会的支出の削減とニューディール立法の解体を目指す企ての一環としての大幅減税と財政支出の大幅増額でした。これは多大な財政赤字をもたらしました。海外に向けても優位を占めるために軍事力を使う志向がありました。1981年には対テロ戦争を宣言しました。今回ほど極端ではありませんが、よく似ています。レーガンの政策は国内ではかなり評判が悪く、父ブッシュ政権を経た12年後、生存している大統領経験者の中でレーガンはニクソンとともに人気最下位でした。1980年代を通して政策は不評であったにもかかわらず政権を維持できたのは、常にパニック状態を引き起こしていたからです。
覚えていますか。毎年のように大きな脅威が飛び出しました。リビアの殺し屋やグレナダの空軍基地、そしてニカラグア〜「テキサス州ハーリンゲンから車で2日のところ」〜などがそうですね。昨年10月、連邦議会は、イラクにおける武力行使の権限を政府に与える決議を可決しました。その文面をご覧になると、ニカラグア政府によるアメリカの安全保障への脅威のために1985年にレーガンが宣言した「国家緊急事態」の言い回しとほぼ同じであることがわかります。もし火星人がこちらを観察していたら笑い出すでしょうね。しかし効き目はありました。国民を怖がらせることができたのですから。
内政問題も過大な宣伝攻勢と合わさって恐れを生むことに成功しました。父ブッシュは正面切った人種差別キャンペーンで1988年の選挙を乗り切りました。ウィリー・ホートン事件を覚えていますか。ブッシュを選ばないと、この黒人犯罪者が今度はあなたの姉妹をレイプする、という戦法でした。黒人はレイプ犯などという示唆から犯罪の恐怖に国民は脅えました。
その数ヶ月後には、今度は薬物の恐怖でした。ヒスパニック系の麻薬密売人が国を崩壊させるというのです。これが主たる論点になりました。犯罪も薬物も問題には違いありませんが、他の先進諸国でもアメリカの状況と同じです。ところが犯罪や薬物に関する恐れは、他の先進諸国の群を抜いています。すべてが恐怖の対象になっている。そもそも恐れというものがあった国で次々と生存への脅威を思い起こさせると・・・。
ちなみに、これはかなり昔からありました。私の子供たちが小学校に通っていた1960年頃ですが、子供たちは原子爆弾から身を守るために学校の机の下にもぐるように教わっていました。このばかばかしさはさておき、子供たちに原子爆弾から身を隠すことを児童に教えていた国は他にあったでしょうか。この国では長年にわたって国民を恐れさせることで従順にすることに力が注がれてきました。国民はあらゆることに恐れを感じています。エイリアンもそうです。かなりの数にのぼるアメリカ人が国民の中にエイリアンが紛れ込んで我々を破滅させようとしていると信じています。
国連も恐怖の対象になっています。アメリカには国連がアメリカ人の大量殺戮を計画していると恐れている人たちがいます。黒いヘリコプターに乗った国連軍の目撃情報などがあるのです。これは私が知っている限りではアメリカだけの現象です。そして不誠実な指導者が巧みに操作する。犯罪、薬物、ニカラグア、グレナダ空軍基地、サダム・フセイン〜次に何がくるかは知りませんが。
しかし背景に本当の問題があるのです。アメリカ国民をコントロールすることだけが重要なのではなく、世界支配も視野に入っている。これまで30年にわたって、世界は経済的に3極にわかれてきました。3つの経済の中心がほぼ肩を並べています。ヨーロッパと北アメリカと日本を拠点としたアジアですね。30年前に始まったことです。アジアの拠点は日本だけでなく、中国なども加わってはきましたが、この3つの地域には変わりありません。
3つの地域を見てみると、北東アジアが世界で最もダイナミックな経済地域です。成長が最も早い。中国は日本や韓国を追うように主要な産業パワーとして頭角をあらわしてきています。資源も十分にある。シベリアにはエネルギーなどの資源が大量にあります。潜在的に統合した地域です。実に世界の外貨準備の半分を占めている。この点からだけみても、3つの地域では最も重要な地域といえます。 |
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