Q and A
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聞き手:『わたしのグランパ』ホームページ編集部
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 <第3回>
Q 映画には音楽も大事ですけど、まず映像ですね。今度のキャメラマンの小林達比古さんってどういう方ですか。
  市川準監督のキャメラマンとして有名な人ですね。照明の中須岳士さんとずっとコンビを組んで、いい作品を作ってます。
Q じゃあ、市川監督の映画を見て、この人なら、ということで?
  それもあるけど、実はこの人はずっと昔から知ってるんです。なにしろ、25年前のぼくの映画『サード』で撮影のチーフ助手をつとめた人ですから。
Q 25年前! わたし、生まれてません。
  そう言えば、ぼくも生まれてなかったな。
Q はあ?
  チャップリンが『街の灯』を作ったとき。
Q ……話、進めていいですか? 小林さんは、キャメラマンとしては、今度はじめて東さんと組んだんですよね。どんな感じでした?
  ご本人は、おれは「撮り人知らず」のキャメラマンだと言ってるそうだけど……。
Q 「撮り人知らず」?
  古い和歌によくあるでしょ、「詠み人知らず」って。映画は監督のもので、キャメラマンが名前を売る必要はないという意味らしいけど、なかなかどうして個性的で、積極的に映像のアイデアを語る人でした。
Q よく疑問に思うんですけど、映像の撮り方って、だれが決めるんですか?
  画面の流れのことを「コンテ」と言いますけどね。もちろんコンテを決めるのは監督の仕事です。でもキャメラマンやほかの人のアイデアがよければ、それでいこう、と。
Q じゃ、キャメラマンやほかのスタッフとの「相性」みたいなものって大切ですね。
  ご明察。
Q 東さんは、『サード』から『橋のない川』まではずっと川上皓市さんがキャメラマンですね。でもその後は一作ごとにキャメラマンが変わってます。なんか理由があるんですか、喧嘩しちゃったとか……。
  ギクッ。なかなか鋭い突っ込み!
Q ありがとうございます!
  でも、全然見当違い。
Q あ?
  監督がキャメラマンを選ぶ基準って、一作ごとの「勘」みたいなものなんです。結果的に同じ人になったり、別の人になったりします。それ以外に理由なんてない。
Q じゃ、今度はその「勘」、当たりました?
  当たりましたよ。映画を批判する人がいても、それは監督を批判してるんで、キャメラマンがだめだという人はめったにいない。今度もそのはずで、もし小林さんが批判されても、それは最終的に監督東陽一の責任です。
Q わっ、カッコいい!
  カッコの問題じゃありませんっての。
Q and A 監督との一問一答
第1回 〜 大まじめに描かれた現代の「おとぎ話」なんだ 〜
第2回 〜 現代の最高級の音楽じゃないと… 〜
第3回 〜 監督がキャメラマンを選ぶ基準 〜
第4回 〜 悩んでいるうち、ふと思い出したのが足利市だった… 〜
第5回 〜 ふわっと空中に浮いたときのこと、おぼえてませんか? 〜
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