小浜渉さんに会う。先祖代々、捕鯨にかかわってきた家に生まれた小浜さんは、子どものときから砲手に憧れていたという。17才(昭和23年)でゴンドウクジラを捕る太地の天渡船(てんとせん)に乗って以来、商業捕鯨モラトリアムで会社が解散するまでのおよそ40年、捕鯨に携わってきた。
その40年の捕鯨人生は商業捕鯨の全盛期であった戦後の食料不足の時代に始まり、捕鯨オリンピックと呼ばれた乱獲期に修行、砲手になった頃、反捕鯨運動が高まり、商業捕鯨の終焉とともに船を下りるところで終わっている。
そういった時代を生きてきた鯨捕りが当時を振り返り、鯨を待つ人々への期待に答える責任や乱獲への反省、鯨を捕ることが悪であると言われたときの驚きとやりきれない思いを語る姿に深い感銘を受ける。 |
| −追記− 編集作業に追われていた12月、小浜渉さんの訃報を知らされる。9月にはあんなに元気だったのに、とても信じられない。この映画で語っていただいた小浜さんのことばは、あたかも遺言のようになってしまった。年が明けた3月、太地を訪れて、仏前に映画の完成を報告する。 |
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